タイルやモルタル等の外壁仕上げの調査方法には、「目視及び部分打診調査」と「全面打診等調査」があります。(建築基準法第12条では特殊建築物を対象に2~3年毎の「目視及び部分打診調査」と10年毎の「全面打診等調査」を行うことを義務付けしています)

肉眼及び双眼鏡や望遠鏡等を使用して外観の観察を行い、手の届く範囲をテストハンマー等による打診により調査を行います。
調査の結果、欠損、浮き、ひび割れ、汚れ等の損傷が認められた場合、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的に全面的にテストハンマーによる打診調査によって全面を確認します。

 

・タイルの張替え状況

 

①仮設足場

仮設足場による外壁打診調査は、外壁周りに足場を組む方法です。

全面的に足場がある分安全性が高く、広い範囲での打診調査が可能となります。

一方で、仮設足場は足場の組み立てや撤去作業だけで数日かかる上、調査費用とあわせて足場費用も必要です。

建築物の規模が大きい場合は効率よく作業を進められますが、規模が小さい場合は規模に対してコストが高すぎるというデメリットがあります。

②高所作業車

高所作業車による外壁打診調査は、車両に搭載されたリフトに作業員が乗り込み、高所の調査を行います。

足場の組み立てをするまでもない時や、屋根や屋上に設備がない時に便利な方法です。

一方で、調査はリフトの範囲内でしか行えないため、規模が大きい調査にはあまり向いていません。

場所によっては道路駐車許可を取る必要もあるほか、狭い場所では高所作業車が入れないこともあります。

警備員やオペレーターなどの人員も必要になるため、コストも高くなりがちです。

③ゴンドラ

ゴンドラによる打診調査では、屋上や屋根から専用の架台を設置し、ゲージに作業員が乗り込んで調査をしていきます。

足場を組み立てなくても作業員はゲージ内に足場を確保することができ、安全に作業が可能です。

小規模~中規模であれば複数のゴンドラで打診調査をすることができ、仮設足場に比べて作業時間が短くて済みます。

一方で、専用機材を用意するためにコストが高くなりやすいのがデメリットです。

④ブランコ

ブランコによる外壁打診調査は、屋上や屋根から吊り下げたブランコに作業員が座り、上から調査をしていく方法です。

足場を組む必要がないので、時間も費用も抑えることができます

ただし、ブランコは安全規格が明確ではありません。

安全性を考慮して、ブランコによる施工を禁止している現場も多いです。

⑤ロープアクセス

ロープアクセスとは、特殊な技術で屋根や屋上から作業員がロープでつり下がる作業方法のことです。

元々はヨーロッパ発祥の技術で、2016年から日本でも『労働安全衛生規則』が制定されたことでロープアクセスが普及してきました。

ロープアクセスは足場がいらないのでコストが安く済むのはもちろん、レスキュー隊が用いる特殊技術を用いているので安全性も高いという特徴があります。

大規模な外壁打診調査には向きませんが、中小規模の打診調査であればコスパも安全性も高い方法です。