日本では、建築物からの落下物等による事故を防ぐため、定期的に建築物の調査をすることが建築基準法で定められています(参考:建築基準法)。
2008年には『国土交通省告示第282号』が告示され、外壁はテストハンマーによる打診や目視等で劣化状況を確認するよう定められました。この調査のことを『外壁打診調査』と言います。
報告を怠った場合、建築基準法第101条に基づき100万円以下の罰金が課されることもある制度です。
しかし、外壁打診調査とは全ての建築物が実施しなければいけないものではありません。
外壁打診調査をしなければならない建築物にはいくつか条件があるので、ご自身の建築物が条件に当てはまっているかどうか、以下から確認してみてください。
磁器タイル浮きの原因
コンクリート躯体とタイル張り仕上げなどの仕上げ層との隙間(浮き)を発生させる原因は次の通りです。
浮きは外壁の剥落に繋がる危険度の高い要因です。
- 温度差によるムーブメント
日射を受ける事によって仕上げ層は熱膨張が生じ、夜間は逆に躯体より先に収縮する事のくり返しにより付着力が低下します。
また、磁器タイルとコンクリートの熱による伸縮係数の違いも生じ、モルタルと磁器タイルの間には隙間が生じやすくなります。 - 地震などの外力によるムーブメント
建物の変形、揺れ、歪みの発生に伴うコンクリート躯体と仕上げ層との付着力が低下します。 - 湿度によるムーブメント
磁器タイル目地などからの吸水により膨張が生じ、乾燥する事によって収縮するこのくり返しにより付着力が低下します。 - 凍結融解によるムーブメント
ひび割れ部から進入した湿気が凍結(膨張)・融解(収縮)を繰り返す事により付着力が低下します。 - 鉄筋の被り厚さ不足
鉄筋の被り厚さ不足により鉄筋に錆が発生し、膨張する事によってコンクリート躯体と仕上げ層を押出して浮きを発生させます。 - 施工不良または建物の不同沈下
コンクリート躯体のジャンカ・異物の混入・過度の深目地なども付着力を低下させる要因となり、また、建物の不同沈下によって外力が発生し同様な浮きが生じます。
以前、建物の躯体は型枠の精度不足のため段差や凹凸が残り、かつては磁器タイルを貼るために厚さ20~30mm前後のモルタル仕上げが一般的に行われていましたが、最近では精度が向上して2.0~3.0mm程の薄塗りが主流となりました。
しかし、コンクリート躯体とモルタル層の浮き、または磁器タイルとモルタル層の浮きは同様に発生しています。